2008-01-01から1年間の記事一覧

観光カリスマ百選

「観光カリスマ」という言葉はあまり聞き馴染みのない言葉かもしれません。 今から数年前のこととなりますが,内閣府,国土交通省,農林水産省が運営母体となり,「『観光カリスマ百選』選定委員会」が設立され,全国各地において,地域のために尽力し,観光…

政府がタクシーの自由化を返上

わたしたちが普段よく使う「タクシー」ですが,小泉内閣の時の2002年に,自由化されました.ですが,その自由化の弊害が大きく,この度,自由化路線を変更する方針を,国交省がまとめました. タクシー業界 自由化返上 過剰深刻、台数・参入の壁修復国土交通…

「構造改革」から「構造強化」へ――中野剛志著『経済はナショナリズムで動く』を読んで

経済はナショナリズムで動く作者: 中野剛志出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2008/10/25メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 39回この商品を含むブログ (13件) を見る 著者は、(1)現代経済の主要なトピックをひと通り概観して「世界経済の動脈は、今や…

一人芝居『友情』(原作:西部邁)が上演されます。

西部邁先生原作のノンフィクション、『友情』の劇場版が、下記のとおり上演されるようです。 あの鈴木一功一人語り『友情』が東京へ帰ってきた。 主人公の海野と西部邁は戦後まもなくの札幌南高校で出会い、 かたやヤクザの幹部、かたや東大の教授となるのだ…

「おかわいさうに」と憲法改正

憲法改正のゆくえ 「おかわいさうに」は三島由紀夫が「戦後日本の大衆」を指すことばとしてよく用いた。戦中、アメリカの捕虜兵を見て或る女性が「おかわいさうに」といって当時世間から非難を浴びたことを引き合いにし、思想や観念を度外視し、低い次元で右…

《書評》鈴木謙介著『サブカル・ニッポンの新自由主義――既得権批判が若者を追い込む』(ちくま新書)

新自由主義=既得権批判 鈴木は本書で「新自由主義」の由来と問題点について論じている。ただし本書には、ハイエクやフリードマン、サッチャーやレーガン、あるいは中曽根や小泉といった名前はほとんど登場しない。それは鈴木が、「新自由主義」をイデオロギ…

負の神としての「悪魔」について

日本在住の欧州から来た人物と酒場で話していた時のことである。文化の違いをあれこれと話すのは楽しいものであるが、中でもキリスト教の考え方について話を聞くのは、何とも興味深い。そんな話の一つで特に興味深かったのは、彼が日本と欧州の重大な違いの…

 福田首相退陣をめぐって――西部邁塾長講義録(2008/9/6)

――評論家・西部邁氏の、「表現者塾」における講義録です―― (この講義をもとにした西部氏の論評が、『表現者』11月号に掲載される予定です) 九月六日の表現者塾では、急遽福田首相が退陣を表明したことについて、まず西部塾長がその日居合わせた塾生に簡潔…

書評:『自己への物語論的接近―家族療法から社会学へ』(浅野智彦著、2001年)

社会学は従来、J・H・ミードの議論に代表されるように、「自己」は「他者」との関係によって形成されるということ、そして「自己」は「I(主我)」と「me(客我)」に分裂することによって「自分自身への関係」をもつことのできる存在でもあると主張して…

荻生徂徠と日本史固有の近代について――統一的原理と多様性

一 定型化された「近代論」の陥穽 江戸期を中心とした日本思想史研究の泰斗である東京大学名誉教授尾藤正英は『日本文化の歴史』の結論部において以下のようなことを述べている。「日本の将来に新しい展望を開く可能性があるとすれば、(中略)『西洋化』の…

『国力論――経済ナショナリズムの系譜』(中野剛志氏著、以文社)を読んで

「経済ナショナリズム」の思想 本書は、マルクス経済学と経済自由主義の陰に隠れて異端扱いされてきた「経済ナショナリズム」の理論の系譜に、光を当てなおす試みである。経済政策は「国家」政策であり、経済学はその政策に示唆を与えるべきものであるはずな…

インターネットと将棋の衰退――ファミコン化する将棋

一 将棋道場は最高の社交の場であり学校であった 本年第五八回のNHKの将棋トーナメントで、九段の石田和雄先生が出場されるのを眼にし、思わず胸が熱くなり、懐かしさで涙が出そうになった。暫くお会いしていないが、石田先生は私が将棋の師匠と敬愛する…

表現の自由とナショナリズム――映画『靖国 YASUKUNI』をめぐって

※『表現者』2008年7月号掲載 『靖国』騒動の顛末 戦時中の靖国神社境内には、陸軍の後ろ盾のもとで軍刀を製造する「日本刀鍛錬会」の鍛錬所が設置されていた。この鍛錬会に関わった刀匠の中では唯一の現役であり、今も高知県で鍛刀に携わる刈谷直治氏が、映…

戦後史学における歴史否定の問題とその相克(後篇)

八 「History」ではなくなった日本の「歴史」 ここで一言、ランケ史学の問題点についても触れておかねばならない。近代歴史学の確立にランケが果たした役割は如何様にも否定できるものではない。とりわけ、未だ文学の領域と不分明であった歴史学に史料批判と…

道路関連報道に見る〈基本的国家了解〉の溶解

道路行政を巡る否定的報道 このところ連日「道路」の話題が新聞紙面やテレビの報道番組をにぎわせている。道路特定財源の一般財源化や暫定税率の話題から、道路財源である五九兆円という数字や、一万四千キロの高速道路網計画や費用便益比、道路の中期計画な…