2008-06-07から1日間の記事一覧

荻生徂徠と日本史固有の近代について――統一的原理と多様性

一 定型化された「近代論」の陥穽 江戸期を中心とした日本思想史研究の泰斗である東京大学名誉教授尾藤正英は『日本文化の歴史』の結論部において以下のようなことを述べている。「日本の将来に新しい展望を開く可能性があるとすれば、(中略)『西洋化』の…

『国力論――経済ナショナリズムの系譜』(中野剛志氏著、以文社)を読んで

「経済ナショナリズム」の思想 本書は、マルクス経済学と経済自由主義の陰に隠れて異端扱いされてきた「経済ナショナリズム」の理論の系譜に、光を当てなおす試みである。経済政策は「国家」政策であり、経済学はその政策に示唆を与えるべきものであるはずな…