川端(会社員)

中野剛志著『自由貿易の罠――覚醒する保護主義』(青土社)

青山さんに続いて。 危機的状況に突入したリーマンショック以降の世界経済の中で、各国が輸入制限、関税引き上げ、政府調達における国内製品優遇など保護主義的な政策を導入しており、国際会議に終結する各国首脳やメディアに登場するエコノミスト達は、八〇…

タクシー問題について

新年明けましておめでとうございます。 突然ですが、いま塾生の間で、「タクシー」ブームが起きています。 これはじつに興味深い話題です。2つ下のエントリでタクシー問題を紹介されている藤井教授は、国交省の審議会等でも積極的に発言されています。 数日…

「構造改革」から「構造強化」へ――中野剛志著『経済はナショナリズムで動く』を読んで

経済はナショナリズムで動く作者: 中野剛志出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2008/10/25メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 39回この商品を含むブログ (13件) を見る 著者は、(1)現代経済の主要なトピックをひと通り概観して「世界経済の動脈は、今や…

《書評》鈴木謙介著『サブカル・ニッポンの新自由主義――既得権批判が若者を追い込む』(ちくま新書)

新自由主義=既得権批判 鈴木は本書で「新自由主義」の由来と問題点について論じている。ただし本書には、ハイエクやフリードマン、サッチャーやレーガン、あるいは中曽根や小泉といった名前はほとんど登場しない。それは鈴木が、「新自由主義」をイデオロギ…

書評:『自己への物語論的接近―家族療法から社会学へ』(浅野智彦著、2001年)

社会学は従来、J・H・ミードの議論に代表されるように、「自己」は「他者」との関係によって形成されるということ、そして「自己」は「I(主我)」と「me(客我)」に分裂することによって「自分自身への関係」をもつことのできる存在でもあると主張して…

『国力論――経済ナショナリズムの系譜』(中野剛志氏著、以文社)を読んで

「経済ナショナリズム」の思想 本書は、マルクス経済学と経済自由主義の陰に隠れて異端扱いされてきた「経済ナショナリズム」の理論の系譜に、光を当てなおす試みである。経済政策は「国家」政策であり、経済学はその政策に示唆を与えるべきものであるはずな…

表現の自由とナショナリズム――映画『靖国 YASUKUNI』をめぐって

※『表現者』2008年7月号掲載 『靖国』騒動の顛末 戦時中の靖国神社境内には、陸軍の後ろ盾のもとで軍刀を製造する「日本刀鍛錬会」の鍛錬所が設置されていた。この鍛錬会に関わった刀匠の中では唯一の現役であり、今も高知県で鍛刀に携わる刈谷直治氏が、映…