2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

女の点から男の線へ――「望郷」における男女の違い

私は上京して六年目になるが、「望郷」というものを感じたことはない。都心にいても、田舎の祭りの時期になると血がわき立つような感覚になったり、夏になると地元の冷やし中華が食べたいと東京で似た味を探したりすることはあったが、それも時とともに薄れ…

戦争の光、平和の影――福田恒存の命題(その九)局地戦争もまた、れっきとした戦争である

【命題】 一挙に全人類を死滅せしめる原水爆は「悪魔」であつて、一挙に全家族を殺す爆弾は「悪魔」ではないのか(「現代の悪魔」)。 健全な精神は、原水爆を「悪魔」と見る前にダイナマイトを「悪魔」と見、爆撃機を「悪魔」と見る前に旅客機を「悪魔」と…

土地と人間(後半)「よかよか」と「しゃーないなぁ」

前号では、筆者が九州に対して特殊な思い入れを抱いていることを述べた。そして、その思い入れの内実を述べるためにまず、筆者が関西で生まれ育ち、現在東京に居ることを述べた。その中で、「大阪のおばちゃん」という抽象概念を引き合いに、東京に各種のコ…

 山路愛山研究(その一) 共同体の思想家・山路愛山

これから機会があるごとに、山路愛山の思想と、明治思想について書いていきたいと思う。 一 国家は死者と子孫を含めた悠久の生命体だと述べた柳田國男 最近は、格差社会という言葉をよく耳にする。主に、経済的な豊かさ、貧しさといったように貧富の固定化に…