青山さんに続いて。 危機的状況に突入したリーマンショック以降の世界経済の中で、各国が輸入制限、関税引き上げ、政府調達における国内製品優遇など保護主義的な政策を導入しており、国際会議に終結する各国首脳やメディアに登場するエコノミスト達は、八〇…
いずれも世間一般では良い事と見なされている「小さな政府」、「規制緩和」、「自由貿易」等の間違えを的確に指摘している良書です。 当たり前の話が異端とされる日本の現状は憂うべきものがあり、ともすると悲観的になりますが、 中野剛志さんの著書は誠に…
塾生の“タクシーブーム”に便乗して(笑),一つアップいたします. 川端君も指摘しているように,やはり,「タクシーの問題」を考えることは,昨今の「構造改革イデオロギー」の誤謬を確認する上でも,そして,その誤謬をどの様に乗り越えていくべきかを考え…
新年明けましておめでとうございます。 突然ですが、いま塾生の間で、「タクシー」ブームが起きています。 これはじつに興味深い話題です。2つ下のエントリでタクシー問題を紹介されている藤井教授は、国交省の審議会等でも積極的に発言されています。 数日…
「観光カリスマ」という言葉はあまり聞き馴染みのない言葉かもしれません。 今から数年前のこととなりますが,内閣府,国土交通省,農林水産省が運営母体となり,「『観光カリスマ百選』選定委員会」が設立され,全国各地において,地域のために尽力し,観光…
わたしたちが普段よく使う「タクシー」ですが,小泉内閣の時の2002年に,自由化されました.ですが,その自由化の弊害が大きく,この度,自由化路線を変更する方針を,国交省がまとめました. タクシー業界 自由化返上 過剰深刻、台数・参入の壁修復国土交通…
経済はナショナリズムで動く作者: 中野剛志出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2008/10/25メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 39回この商品を含むブログ (13件) を見る 著者は、(1)現代経済の主要なトピックをひと通り概観して「世界経済の動脈は、今や…
西部邁先生原作のノンフィクション、『友情』の劇場版が、下記のとおり上演されるようです。 あの鈴木一功一人語り『友情』が東京へ帰ってきた。 主人公の海野と西部邁は戦後まもなくの札幌南高校で出会い、 かたやヤクザの幹部、かたや東大の教授となるのだ…
憲法改正のゆくえ 「おかわいさうに」は三島由紀夫が「戦後日本の大衆」を指すことばとしてよく用いた。戦中、アメリカの捕虜兵を見て或る女性が「おかわいさうに」といって当時世間から非難を浴びたことを引き合いにし、思想や観念を度外視し、低い次元で右…
新自由主義=既得権批判 鈴木は本書で「新自由主義」の由来と問題点について論じている。ただし本書には、ハイエクやフリードマン、サッチャーやレーガン、あるいは中曽根や小泉といった名前はほとんど登場しない。それは鈴木が、「新自由主義」をイデオロギ…
日本在住の欧州から来た人物と酒場で話していた時のことである。文化の違いをあれこれと話すのは楽しいものであるが、中でもキリスト教の考え方について話を聞くのは、何とも興味深い。そんな話の一つで特に興味深かったのは、彼が日本と欧州の重大な違いの…
――評論家・西部邁氏の、「表現者塾」における講義録です―― (この講義をもとにした西部氏の論評が、『表現者』11月号に掲載される予定です) 九月六日の表現者塾では、急遽福田首相が退陣を表明したことについて、まず西部塾長がその日居合わせた塾生に簡潔…
社会学は従来、J・H・ミードの議論に代表されるように、「自己」は「他者」との関係によって形成されるということ、そして「自己」は「I(主我)」と「me(客我)」に分裂することによって「自分自身への関係」をもつことのできる存在でもあると主張して…
一 定型化された「近代論」の陥穽 江戸期を中心とした日本思想史研究の泰斗である東京大学名誉教授尾藤正英は『日本文化の歴史』の結論部において以下のようなことを述べている。「日本の将来に新しい展望を開く可能性があるとすれば、(中略)『西洋化』の…
「経済ナショナリズム」の思想 本書は、マルクス経済学と経済自由主義の陰に隠れて異端扱いされてきた「経済ナショナリズム」の理論の系譜に、光を当てなおす試みである。経済政策は「国家」政策であり、経済学はその政策に示唆を与えるべきものであるはずな…
一 将棋道場は最高の社交の場であり学校であった 本年第五八回のNHKの将棋トーナメントで、九段の石田和雄先生が出場されるのを眼にし、思わず胸が熱くなり、懐かしさで涙が出そうになった。暫くお会いしていないが、石田先生は私が将棋の師匠と敬愛する…
※『表現者』2008年7月号掲載 『靖国』騒動の顛末 戦時中の靖国神社境内には、陸軍の後ろ盾のもとで軍刀を製造する「日本刀鍛錬会」の鍛錬所が設置されていた。この鍛錬会に関わった刀匠の中では唯一の現役であり、今も高知県で鍛刀に携わる刈谷直治氏が、映…
八 「History」ではなくなった日本の「歴史」 ここで一言、ランケ史学の問題点についても触れておかねばならない。近代歴史学の確立にランケが果たした役割は如何様にも否定できるものではない。とりわけ、未だ文学の領域と不分明であった歴史学に史料批判と…
道路行政を巡る否定的報道 このところ連日「道路」の話題が新聞紙面やテレビの報道番組をにぎわせている。道路特定財源の一般財源化や暫定税率の話題から、道路財源である五九兆円という数字や、一万四千キロの高速道路網計画や費用便益比、道路の中期計画な…
五 「先祖に対して抱く共通の誤解」も必要 「民族とは、先祖に対して抱く共通の誤解と、隣人に対して抱く共通の嫌悪感とによって結び合わされた集団である」、との言がヨーロッパにはある。一般にこの言葉は、所詮は民族なるものは幻影にすぎないとの例証と…
(前回の補足説明:文明は「手段」か「目的」か) 1 前回、文明を「手段」と見るか「目的」と見るか、この二つの対立が明治思想家の間であったということを述べた。しかし、あれだけでは非常に分かりにくく、ラフすぎる。 福澤諭吉は明治八年(一八七五)、…
――愛山における一番の優先順位は、国家共同体に他ならず、これらを破壊するのは近代文明と認識していた。 四 文明は手段なのか目的なのか、近代日本二つの視点 前号は、ざっと山路愛山の共同体思想における一番の要所といってよい「社会三元論」を紹介した。…
一 ヘーゲルか、ディルタイか? 「あらゆる歴史は、過去である」 「あらゆる歴史は、現代史である」 ここに二つの文章を設定してみた。前者は、広辞苑による歴史の定義、すなわち歴史とは、「人類社会の過去における変遷・興亡のありさま」から必然的に導か…
私は上京して六年目になるが、「望郷」というものを感じたことはない。都心にいても、田舎の祭りの時期になると血がわき立つような感覚になったり、夏になると地元の冷やし中華が食べたいと東京で似た味を探したりすることはあったが、それも時とともに薄れ…
【命題】 一挙に全人類を死滅せしめる原水爆は「悪魔」であつて、一挙に全家族を殺す爆弾は「悪魔」ではないのか(「現代の悪魔」)。 健全な精神は、原水爆を「悪魔」と見る前にダイナマイトを「悪魔」と見、爆撃機を「悪魔」と見る前に旅客機を「悪魔」と…
前号では、筆者が九州に対して特殊な思い入れを抱いていることを述べた。そして、その思い入れの内実を述べるためにまず、筆者が関西で生まれ育ち、現在東京に居ることを述べた。その中で、「大阪のおばちゃん」という抽象概念を引き合いに、東京に各種のコ…
これから機会があるごとに、山路愛山の思想と、明治思想について書いていきたいと思う。 一 国家は死者と子孫を含めた悠久の生命体だと述べた柳田國男 最近は、格差社会という言葉をよく耳にする。主に、経済的な豊かさ、貧しさといったように貧富の固定化に…