政府がタクシーの自由化を返上

わたしたちが普段よく使う「タクシー」ですが,小泉内閣の時の2002年に,自由化されました.ですが,その自由化の弊害が大きく,この度,自由化路線を変更する方針を,国交省がまとめました.

タクシー業界 自由化返上 過剰深刻、台数・参入の壁修復

国土交通省は5日、タクシーの供給過剰問題で、営業台数が増えすぎていると判断した地域では一斉減車を促せる制度を新たに創設する方針を明らかにした。・・・新規参入や増車が事実上自由化された02年からわずか7年で、台数を制限する規制強化に方針を戻す。・・・

「自由化」「自由競争」「規制緩和」といった方針が何でもかんでも礼賛された風潮が,(専門家であるなら誰もが事前に予測していた....)「自由化の弊害」を目の当たりにして,少しずつ変わりつつあるのかもしれません.

ちなみに,「タクシーの自由化」の弊害については,
 タクシーが無制限に増えてしまい
   → タクシー待ちの渋滞が起こると共に,
   → 一台あたりの収入が減少し,
   → そのために最低賃金割れを起こす運転手が増え
   → そのために,仕方なく「値上げ」してしまい
   → 少しでも稼ごうとする運転手が増えて過労のため事故が増える
といったものでした (→参考).

少々ややこしいですが,自由化すれば安くて質の良いサービスが供給される,とは,必ずしも言えず,自由化によって,サービスの質が劣化し,値段が上がることもある,ということです.なお,最近東京のタクシーの初乗りが,最近710円に値上がりしましたが,これにも「自由化」が根本的原因となっています.

...ですので,逆説的ですが,今回の「規制」が,タクシー運賃の「値下げ」に繋がることもある,とも言えそうです.